持ち家か、賃貸か、永遠の課題
リタイア生活を送るにあたり、住宅をどうするか、これは大きな問題だと思います。
リタイアとは全く関係なく、持ち家か、賃貸か、という議論は永遠のテーマとしていろいろなところで語り尽くされてきました。
ここでは私の個人的な経験などをもとに、考えを述べてみようと思います。
そもそも、家とはなにか?家に何を求めるのか?
私の考えでは、FIREの目的はQuolity of Lifeの向上にあるので、住宅についてもこれと同じことが言えます。
つまり、持ち家か賃貸か、の比較には、どちらがQOLを上げるか、という視点で選ぶことになります。
正直、これはあちこちで言われているとおり、人によるとしか言いようがありません。
もし、家を持つことに大きな喜びを感じているとか、昔ながらの男は一国一城(家のこと)の主になって一人前、とかそんな価値観を持っているようなら、家は買ったほうが心理的に充実しますので、持ち家が良いのだと思います。
一方で、コストパフォーマンスが最重要で、ライフスタイルに合わせて住み替えていきたい、とか、いろんな地域に住んでみたい、ということを望んでいるなら、賃貸のほうが良い、ということになります。
なので、全くこれについては比較すること自体に意味がないのですが、では、私がどうしたか、どういう考え方で家を購入したか、ということを書いてみようと思います。
私はもともと賃貸派でした
私自身は家については消費財という発想を持っていて、所有すること自体に価値を感じてはいませんでした。家に支払っているお金は雨風をしのげるとか、快適な空間とか、そういった価値に対しての対価であって、所有することに対する対価とは捉えていません。
また、以前からロバートキヨサキさんの「金持ち父さん貧乏父さん」を読んでいたり、橘玲さんの本を多数本でいたりしたことから、マイホームについては負債という捉え方をしており、それゆえ、長らく賃貸派でした。
ですが、結果的には今年(2021年)に自宅を購入しています。
なお、私が購入したのは築40年の古いマンションで、旧耐震基準時代のものです。(ただし、新耐震基準相当であるという証明書を取得しているマンションです。)
駅から徒歩3分、渋谷駅まで25分程度、角部屋で70平米ちょっと、という3人で暮らすには非常に利便性の良いところです。購入価格は2600万円でした。(この金額になった背景は別のところで記事にしようと思います。)
この家ですが、実は、賃貸で借りていた部屋を買い取ったという形で取得しました。
つまり、私の中でのマイホーム購入は、この部屋だから買う気になった、というのが正直なところです。
なぜ買うことにしたのか
もともと賃貸派だった私が、なぜマンションの購入に踏み切ったのか、それにはいくつかの理由があります。
- 娘がこの部屋を非常に気に入っており、私に買ってくれとせがんできた。
- 娘が転校などはしたくない、と思っていた。
- 私自身この部屋をとても気に入っており、ずっと住んでいようと思っていた。
- 一方で、賃貸がゆえに家をいじれないことに不満を感じていた。
- 娘が大きくなったときに、今の間取りでは娘の部屋を作ることが出来ない。
- お風呂が古く、追い焚きが出来ない。また、お風呂が狭い。
- 洗濯機置場が狭く、ドラム式が置けない。
- 冬の結露がひどく、断熱性を高めたい。
- 金銭的に、購入したほうが賃貸でずっといるよりもメリットがありそうだ、という目処が立った。
- ずっと住んでいるので、マンションの管理状況、修繕状況、周辺環境や住民の状況もよくわかっていた。マンションのコミュニティに属することにそこまで抵抗がなかった。
- 利便性が高い部屋なので、自分たちが住まなくても賃貸に出すという選択肢も取れると思った。買取業者のパンフレットもよく入るし、駅の周辺には新築マンションが建てられるような空き地もなく、長期に渡って土地としての資産価値は落ちないという判断ができた。
- 建物のインスペクション、管理のインスペクションを通じて、優秀なマンションであることを確認できた。
上記が購入した理由です。
ポイントは、住んでいた部屋を買い取った、という部分です。おそらく、住んでもいない部屋を買うという選択は私はしなかったと思います。そういう意味では、例外的なパターンではないかと思います。
家を買ったことが、FIRE計画に影響を与えたか
これ、実はすごく影響を与えています。
家を買い取ることを決めたことと、仕事をやめることを決めたことはほぼ同時なのですが、オーナーと買取条件の交渉の末、購入が決まったとき、正直気持ち的にはとてもホッとしたことを覚えています。
住む家の心配をする必要がない、ということはFIREを決めることの大きな後押しになりました。もし賃貸を続けていたら、ここまで明確にFIREをするとは決められていなかったかもしれません。
家を買うということは、長期に渡って、その家に住むことになります。別の言い方をすると、そこの土地に縛られることになります。そのコミュニティに属することになります。
コロナになって、健康のために自宅周辺を毎日散歩しているのですが、そのたびに、ここで老後まで過ごすんだ、という思いをもって、感慨深く散歩しています。自宅の周辺はスーパーやコンビニ、カフェなどの商業施設もそれなりにあり、公園も多く、環境としてはとても良いところです。
私は都会の喧騒が好きではないので、郊外の落ち着いたところを好んでいるのですが、利便性が高い場所にも関わらず、公園や緑が多いのはとても気に入っています。正直、私の実家や妻の実家の環境よりずっとバランスの取れた良い場所と思っています。
拠り所があるからこそ、自由に動き回れる
FIRE生活に置いて、私は将来的には妻と一緒に月単位で世界の各地に住んでみたいと考えています。
住むところに縛られる必要はなく、好きなところに好きなときに住めば良いじゃないか、そんなことを考えています。
例えば、夏の間は北海道に住んでみたり、沖縄のビーチの近くに数ヶ月住んでも良いかもしれません。京都に住んで神社仏閣を巡っても良いですね。
あるいは、海外に住むというのも楽しそうです。パリ、ローマ、フィレンツェ、プラハ、住んでみたいところはたくさんあります。
そんなことを考えたとき、家があるということはどういう意味を持つでしょうか?
あちこちに住むなら、そもそも家なんて要らないんじゃない?とそう思うかもしれません。
私は全く逆のことを思っています。
私はあちこちに住みたいとは思っていますが、パーマネントトラベラーになりたいわけではありません。
あくまでも、自分たちの帰る場所がある中で、非日常として別の環境で暮らしてみることを望んでいるのです。
そういう意味で、帰る場所を確保できたことは、非常に意義が大きく、家を購入したことについては満足しています。
世界には住んでみたいところが山程あります。
金銭的にはどうか?
心理的には買ってよかった、となりますが、金銭的にはどうでしょうか?
実は、これも買ったほうがメリットが有りました。
まず、家の価格については以前から橘玲さんの本で収益還元法を知っていたので、それをもとに計算しました。
賃貸時の家賃は13万円ほどで、収益還元法5%で計算すると、理論価格は3200万円ほどになります。(更新費等も考えると、20年分の家賃が3200万円という計算)
ここから購入時の経費などがかかることを考慮し、買取交渉は3000万円からスタートしました。
が、結局いろいろな交渉の末、なんと2600万円まで値引いていただけることになりました。古いマンションとはいえ、相当安くしてもらったと思っています。
これ、収益還元法だと、6%の利回りということになります。これはマイホームとしてはかなり良い部類になると思っています。
住宅ローンですが、Paypay銀行から変動金利0.38%で借りています。当初35年で申し込もうとしていたのですが、銀行の規定を満たさず、24年に短縮されています。
変動金利0.38%で借りたお金で、利回り6%の投資をしていると考えれば、これは非常に優れたレバレッジ投資とも言えます。
実際、月の支払いは8万円ちょっとくらいで、修繕積立金、管理費を含んでも、賃貸時代から3万円ほど安くなっています。
ただ、娘が一人部屋を必要とする頃にはスケルトンのフルリノベーションをしようと考えており、このときにおそらく1000〜1400万円ほどかけることになると想定しています。
賃貸と購入、結論は?
これも私に限ってのことですが、私の場合は買ってよかった、と、そう思っています。
ただ、これはあくまでも私の場合であって、FIREする人全てに当てはまるわけではありません。
FIREする人の中には、田舎で暮らしたい人もいれば、都会から離れたくない人もいるでしょう。逆に、今は田舎でもFIRE後は都会に住みたい人もいるかも知れません。
万人にあうような結論なんてないのは当然で、自分の価値観のなかで何を優先するか、何に自分は満足できるのか、どちらがQOLを高めるのに向いているのか、そのような判断が必要だと考えています。